【イベントレポート】三菱鉛筆の鉛筆けずり入社式でセンザキリョウスケさんの「Dessin LABO(デッサンラボ)」によるデッサンレッスンを実施しました

イベントレポート

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鉛筆けずり入社式とは?

新年度が始まりましたね!

三菱鉛筆にも新たな仲間が加わり、4月3日(月)に入社式が行われましたよ。

三菱鉛筆では、“世界に誇れる国産鉛筆”「uni」が発売50年を迎えた2008年から、新入社員が小刀で鉛筆を削る「鉛筆けずり入社式」を行っています。回数を重ねて、今年で16回目を迎えました。

毎年の恒例行事として社内でも親しまれていて、私も入社時の思い出になっています。

もともとは、当社を代表するプロダクトを手削りすることで、自社製品への愛着を持ってもらいたいと気持ちを込めてはじまったものです。

多くの皆さまに愛され続けている商品を、半世紀以上の間製造し販売できていることって、本当に幸せなことだと感じます。

さらに今年は、当社が「世界一の表現革新カンパニー」を目指していることから、新入社員にも一つの「表現体験」をしてもらう目的で、自分で手削りした鉛筆でデッサン体験を行いました。

さて、新入社員にデッサンをレクチャーしてくれたのは、贅沢にも、デッサンのプロ集団「Dessin LABO(デッサンラボ)」さん。

Lakitのレッスンでデッサンの講師をしてくださっている、センザキリョウスケさんが所属するクリエイター集団です。

「デッサンラボさんから直接習えるなんて羨ましい!今年の新入社員になりたい!」というLakitメンバーや他の部署の先輩社員もたくさんいました。

 

こちらの記事では、鉛筆削り入社式や、そのなかで行なったデッサン講習の様子をご紹介します!

 

数原社長より激励の言葉で入社式スタート

数原社長から新入社員に向けた「激励の言葉」から入社式がスタート。

 

【社長 数原 滋彦 あいさつ抜粋】
 入社おめでとうございます。本日より、皆さんは三菱鉛筆の一員になります。この鉛筆けずり入社式のアイデアは当時の若手社員が「当社らしい入社式とは何か」を考えてカタチになりました。
人材も鉛筆も、磨き続けて尖らせていくというコンセプトとなっています。
今年は、常に新しいことへチャレンジする社風にあわせて内容を進化させました。デッサンという表現体験を加えて、例年までとはひと味違った鉛筆けずり入社式となっています。たくさんの見学者の中で緊張する面もありますが、ぜひそれも含めて楽しんでください。

鉛筆削り入社式を始めた経緯と、鉛筆を削らせることに込めた意味について紹介がありました。

鉛筆を削るのは、三菱鉛筆らしさの表れでもありますが、社名にもなっている大切な商品に愛着を持ってもらいたい気持ちが込められています。

また、削ることで筆記具としての持ち味を発揮する鉛筆のように、新入社員が入社後も自分自身を研ぎ続け、活躍してほしいという思いも込められているんですね!!

 

スタッフOも入社した時に鉛筆を削りましたが、イベントになっていると記憶に残りやすいんですよね。今年の新入社員にも、後から思い返していい思い出にして欲しいと思います。

小刀でけがをしないように、くれぐれも気を付けて、さあスタートです!

 

鉛筆を小刀で手けずり

新入社員には、「2023.4.1 Welcome to Mitsubishi Pencil」と名入れされている鉛筆「uni(ユニ)」が1ダースずつ配られます。まずは、なんの予備知識も入れずに、思い思いに小刀で削り始めてもらいます。

小刀で鉛筆を削るのは初めて、という新入社員がほとんどです。

みんなおっかなびっくりしながらも、一生懸命に集中して削ります。一生懸命な姿がとっても初々しいです。

削り方も人それぞれ。慎重に少しずつ少しずつ削る人、ちょっと雑だけど芯まで早めにたどり着く人。もうこの時点で個性が出ますね。

自分で削った後、先輩社員から一度削り方のレクチャーを受けます。そして今度はそこで教わった通りに削ってもらいました。

入社5年目の先輩社員も見守ってくれて、アドバイスをもらいながら削っていきます。

先輩からアドバイスをもらうと、おっかなびっくりだった削り方に自信がつくようです。自分の力だけで削ったときよりも、上手に削れるようになりました!アドバイスは少しだけなのですが、劇的に削り方が変わって、とても面白かったです。

新入社員の皆さん、研修の後でそれぞれの部署に配属されても、自分だけでひとり頑張るのではなく、先輩からのアドバイスももらいながら仕事に励んでくださいね!

 

デッサンラボによるデッサンレッスン

さあ、でもここまでは例年通りの内容。次に、手削りした鉛筆を使った表現体験をします。

デッサンラボから、センザキリョウスケ先生と山本直先生のお二人に外部講師としてお越しいただきました。

デッサンラボ とは?

デッサンラボ(Twitter @dessin_labo)は、東京藝術大学デザイン科の同窓生で結成された、センザキリョウスケさんと、山本直さん、浅原聡さんの3名からなるデッサンのプロ集団です。

センザキさんは、こちらのブログ読者の方にはLakitのクリエイターとしておなじみですよね!

お二人から聞いたところでは、美大生であっても大学入学後はデザインや制作などほかの分野に取り掛かることが増えて、デッサンから遠のいてしまう方が多いのだとか。

美術を学んだわけではなく趣味で描いている方のほうが、通算では鉛筆を使っている時間が長いと思う、とも仰っていました。

せっかく入学前からたくさんのデッサンを描いてきたのに、だんだんとその機会を失ってしまうことを在学当時から残念に思っていたそうです。

もともと、大のデッサン好きを周囲にも公言されていたお三方。大学を卒業されて、それぞれの仕事や大学院での勉強など環境が変わると、会う機会は減ってしまい、そしてデッサンをする頻度はさらに少なくなって寂しく思っていたとのこと。

そんな中で、2014年の11月にSNS上でゆるくデッサンをつづけていこう、とデッサンチーム「デッサンラボ」を結成されたそうです。

そんな風にひとつ共通の好きなことで仲間と一緒になれるって、すごく素敵ですよね。

 

今回は、センザキさんと山本さんのお二人にお越しいただき、デッサンを教えてもらうことが叶いました。

uniをご愛用いただき、ありがとうございます!

お二人はデッサンに普段からuniをご愛用いただいています。

入社式を行うにあたって作品や普段の道具をお借りしたのですが、鉛筆の芯先はこんなにとがらせてデッサンをするんですね。

こんな素敵なデッサンが鉛筆から描けるなんてすごい!奥行きなどいったいどうなっているの?

Lakitのセンザキさんのデッサンレッスンはこちら⇒

何度も色を重ねる場合、1枚のデッサンで1本の鉛筆を使い切ることもあるのだとか…。

三菱鉛筆の社員でも、そんなに鉛筆を使う人はごく少数なはずです。

 

ずっとuniを使い続けてくださっているお話を聞くと、発売から65年変わらないuniの品質を愛していただけているのだな、と実感します。

「変わらない」って簡単に見えますが、黒鉛・粘土・木材全て天然の素材なので、「変わらない」でいつづけるって実は難しいのです。

これからも品質や使い心地などの愛していただけている部分が変わらないために、努力し続けたいと思います!!

 

15分で行うデッサンの特別カリキュラムを実施

本当ならたっぷり時間をとってデッサンを教わりたいところです。時間が許されるなら、Lakitで教えてくださっているように、円柱や図形を練習してから対象物に取り掛かりたい。。だけど、今回は入社式の一環で残念ながらじっくり時間が取れません。

取れる時間は、なんと15分!

お二人が普段教えていらっしゃるような美大を目指す学生さんや、絵の心得が多少ある方ならまだしも、初めてデッサンをする新入社員も多い中で、15分はかなり時間の制約が厳しいところ。

ですが、そこは流石のデッサンラボさん。プロのレクチャーによって、15分という短い時間であってもそれぞれが達成感を感じながら描き切れる体験となりました!

 

実は、過去の鉛筆削り入社式では、削った鉛筆で抱負を書き初めしたり文字を書いたことはありますが、絵を描くのは初めて。

新入社員も「先輩から所信表明を書くと聞いてましたが、今年からデッサン体験になっていて驚きました」と、不安そうな表情でちょっとこわばったように見受けられます。

いったいどうなるかしら?上手に描けるかな?大丈夫・・・?

 

「自分の樹(き)」を描く

今回の「表現体験」では、新入社員の皆さんに「自分の樹」を描いてもらいました。

鉛筆は年月をかけて育った樹木から切り出した木材で出来ています。

そして、これから新入社員が自分の居場所に根を張り、栄養を取り込みながら日々成長していく姿を、年を経て大きく太く立派に成長する樹木に重ねて「樹」をモチーフにしました。

三菱鉛筆という場所に根差して、たくさんのことを吸収しながら自分自身を成長させてほしいです。

 

 

まずはセンザキさんがお手本として描きます。

「説明を聞いて描いてもらえば、何とかなるので大丈夫です。」と不安な新入社員の緊張をほぐすように話し始めます。

「まず、紙の中心を意識して木全体の形から描きます」とセンザキさんは説明しながら…

「チリチリさせて落書きするように描いてみます」

—(一同)「チリチリ!?」

新入社員の困惑が見えた気がしましたが、、センザキさんが簡単な線にならないよう細かく鉛筆を動かしていくと…

豊かに茂った樹の全体が見えてきました。新入社員だけでなく、同席者からも静かに、「おおーー」と声が上がります。

ちょっとずつ描き進むたびに、擬音を混ぜながら、難しい理論ではなく感覚的なコツを伝えてくれるセンザキさん。

最初はいきなりデッサンを描くなんて…と、とっつきにくそうにしていた新入社員たちにも変化が見えてきました。

次はどうなるんだろう、と興味津々でセンザキさんの仕上がりを見つめます。

陰影表現に差し掛かり、

「光がさしている方向を想定して影をつけます。今回は右上から光が当たっていると思って描いてみましょう」

陰影なんて上級テクニック、、できそうにないと思いそうな場面でも、

「影のかたまりをこんな風に描いて、左下に陰影がくっきりできるイメージで」

と重要なポイントを説明しながら描いて見せてくれます。それがすごくわかりやすく、”できそう”な気持ちになってくるから不思議です。

「幹を描く前に、幹につながる細かい枝を伸ばします。逆算する感じで。フォークや熊手のように枝が伸びているイメージで」

イメージしやすい例を交えながら、やさしい言葉で説明しながら描いてくれます。

センザキさんの手元を見ながら、ゆるーくリラックスした雰囲気で描き進めていきます。

 

ひと通りの描き方のレクチャーを受けて、いざ実践!

新入社員たちは、「絵があまりうまくないので、デッサンはどこを突き詰めて描いていくか、難しいです」と言っていましたが、センザキさんの「適当でいいんだ」「考えすぎずに」という一貫した、堅苦しくないくだけた様子にほぐされていました。

描いた線が思い通りにいかずに間違えてしまっても何とかなる気がして、線を引くことへのためらいが消えているみたいです。

山本さんとセンザキさんが全員のところを回りながら、ほめたりアドバイスをしていきます。

自分らしく自由に描く余地を残しながら、でも初めてデッサンをする人がそれなりに上手に描けるようレクチャーするのは難しい塩梅だったと思いますが、短い時間で教えていただけました!

「上手描かなきゃ、真面目に描かなきゃ!」と緊張している新入社員に、

「楽しんで」「テキトーで大丈夫。正解の形はないので他の人の作品に寄せなくていい」「自分ならどういう樹にする?」

と表現を指定せずに促してくれるので、出来上がりは個性豊かになりました。

終わってみるとあっという間の15分。「樹の影を出すために、色を塗っていると没入感があって時間を忘れます。もっとじっくり描きたかった!」との声が。

とても楽しい体験になったみたいでよかったです。

最後に自分のサインを入れて、日付も加えました。それぞれが愛着を持てる作品に仕上がったようです。

デッサンは最初は思ったように描けなくても、人に見せてフィードバックをもらうことでだんだんと上手になるそうです。

仕事とデッサンの共通点かもしれませんね。

仕事も、自分だけで考えているより、周囲に相談したり、企画を提案してみることで前に進むことができます。思っていたのとは違う反応をもらえたり、行動を喜んでもらえたり。違っていたら先輩や上司から指摘してもらって、さらにいいものになるよう修正していけます。

 

入社式を終えて…感想

終わった後にセンザキさんと山本さんお二人に感想を伺いました!

 

ーーーー(センザキリョウスケさん)日頃、デッサンを全くしない方に教えることがないので新鮮でした。今回、本当に初めてという方に描き方を教える機会をもらって、自分たちも初心に帰ることができました。

デッサンをしてみて、よく描けた、全然だめだった、という感想をもったと思います。でも、見る方にとっては等しく楽しい。かわいいデッサンができているし個性が出せています。

デッサンって、不格好でも楽しいものなんですよ。

ぜひ、デッサンをこれきりにせずに、手を動かして、絵を描いてみてほしいと思います。自分の作る形というのは自分からしか生まれません。そのことは、これからも大切にしてほしいです。

ーーーー(スタッフO)擬音を交えながら、難しくないように進行してくださったので、初めてのことでも楽しくできたと思います。

ーーーー(センザキさん)がちがちの理屈で説明するととっつきにくくなってしまって、その結果やらなくなってしまう、それはもったいないと思うんです。

苦手だからやらない、なら苦手の理由は何だろう?落書きの延長なら楽しくできるのかな?と意識して簡単に感じていただけるようにしています。描き切れた!と思ってもらえたらうれしいです。

ーーーー(スタッフO)もともと苦手意識がある上に、下手だと自覚したら途端にやりたくなくなってしまいます。

ーーーー(山本直さん)僕たちも…デッサンが上手かどうかはわかっていないんです。

例えば美大受験をするときは本当にたくさんデッサンを行いますが、練習の中で心が折れるポイントはいくらでもあります。やめようと思えばいつでもやめられます。だけど、続けないと上手にならないんですよ。

美大を目指す学生たちは一般的に上手といわれていますし、それが好きでやっている人が多いのに、それでも大学合格を目指す過程で止めてしまうという人がとても多いです。

だから楽しむことって大事だと思う。まずは続けること、その中から楽しさを見つけること。絵の才能とかは、それほど差はないと思うんですよね。

ーーーー(スタッフO)お二人から、 ”楽しむ” ということの重要さが伝わってきます。

 

 

デッサンと聞くと、イラストや落書きに感じるような身近な印象とは対極的に、なんとなく専門的で敷居の高い印象をいだいていました。

一般的に、子供のころから早く才能を見つけて得意なことに特化して伸ばしていこう、と言われますが、見つけられない才能は伸ばせないし、そしてアートの才能って見えにくい分野ですよね。

何かを継続できることも才能だと思います。

「楽しいと思うこと」ならいくらでも続けられる、簡単だよ、と思うでしょうか。

けれど、自分自身を振り返ってみると、気持ちには波があるし、ずっと続けることって意外と難しいのではないでしょうか。

好きだったはずのことなのに、ずっと続けているうちに楽しい気持ちがなくなってしまったというのもよくあること。それでもあきらめずに続けてみると、楽しい時がきたり変化を感じることがあるはずです。

新入社員の皆さんにも、「 ”うまく” できないから嫌い、苦手」と決めつけ、やめてしまうのではなく、”うまく” なるには継続しかないので続けてもらえるといいな、と思います。

最初から ”うまく” できる人は少ないので心配しないでくださいね!!

 

 

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最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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